日本では長時間労働者の割合が19.5%(英国11.5%)と比較的高いにもかかわらず、一時間当たりの生産性が49.5$(英国69.3$)と他国と比較して伸び悩んでいる傾向があります。この原因の一つとして考えられているのが、従業員に対する健康への投資(人的資本に対する投資)です。日本における人的資本への投資割合は、米国・英国と比較すると約3倍の差があるといわれています。これは、日本の企業における投資のほとんどが有形資産(機械や工場などの実物的な生産設備)に対して行われており、無形資産(ソフトウェア・組織改革・人的資本)の割合が世界的にみても少ないためだと考えられています。
健康経営とは、このような日本企業の投資傾向を見直すために、経済産業省が旗揚げ役となって推進する「健康管理の経営的・戦略的実践」であるといえます。そのため、健康経営の考え方のもとでは、従業員への健康保持・増進の取り組みを「福利厚生の観点」だけでなく「将来的に業績や企業価値を向上させる投資」として捉え、マネジメントする経営者の視点が求められます。健康経営に取り組む経営者は、従業員の健康リスクと生産性の損失の関係性を捉えておく必要があります。とくに先進的に健康経営に取り組んでいる企業では、自社独自の健康指標と生産性指標が作成されており、年度や上半期・下半期ごとにモニタリングできる体制の整備など、多くの工夫がなされています。


